【第4回】 大丈夫かぁ、日本の旅行会社

 最近、電器業界をはじめ多くの分野で外資にやられている感のある日本市場ですが、実は旅行業界も同様なんです。最近クマが踊っている旅行のCMをご覧になったことがあると思いますが、こちらは『エクスペディア』というみなさんご存じ米マイクロソフトから独立した旅行会社なのです。このままの状態で日本の旅行会社に将来はあるのでしょうか?

 最近ネットで海外旅行を予約しようとすると、よく目にするのが、エクスペディア以外に、『booking.com』や『agoda』、『HotelClub』などなど。これらはすべて外資系の旅行会社になります。特に外資が主流となりつつあるのが、海外ホテル予約。外資系は日本市場だけでなく、世界中で販売しているため、マーケットの裾野が日本の旅行会社と比較して桁違いに広いのです。

 

 これまでは海外ツアーという形の商品の売り上げが海外旅行の中で占める割合が大きかったため、外資系が成功した例はありませんでした。これは航空券の仕入れが日本独自の特殊事情があるために、その慣例を外資は打ち破れなかったということなんです。それが最近になって、外資系の取り扱いが増えている理由として次の2点があげられます。

 

① FIT(素材購入:航空券、ホテル等をばらばらに購入すること)需要が増えてきた

② ツアー用の航空券レート(価格)と航空券のみ購入時の価格差が小さくなってきた

 

 ①は旅行慣れした方が増えてきたことと、ネットが購入の主流となってきたため、それらが購入しやすくなったことが理由にあげられます。②は航空会社はこれまでツアー作成用に旅行会社に安い金額で航空券を卸してきましたが、最近のPEX(正規割引運賃)はその金額に近づきつつあり、ツアーの金額的メリットが薄れてきているのです(つまり、ツアーで購入しても、航空券&ホテルで予約しても金額の差がなくなてきている)。

 外資系の旅行会社は、世界中でホテルを仕入れ、それをまた世界中で販売しているため、送客数のスケールメリットでホテル代金が安く仕入れられるのです。またツアーにおいても、上記の理由により、エクスペディアなんかは、PEXとホテルを自由に組み合わせてダイナミックパッケージツアーとして販売しております。こうなると、日本の旅行会社の専売特許でもあるパッケージツアーの分野でもいよいよ厳しくなってきております。

 

 そう考えると日本市場においては、どんどん外資系の勢力が強くなっていくのが明らかです。国内旅行でも、世界展開で販売してくれる外資には旅館・ホテル等も安いレートを提示してくることが十分考えられます。よって、私が思うに、明確なプランをもって事業を行っていない日本の旅行会社はどんどん外資に取り潰されていくでしょう。

 

 日本の旅行会社が今後生き残るためには、逆に世界に打って出なければならないと考えます。もちろん多くの大手・中堅旅行会社は、中国・韓国等には進出し始めておりますが、なかなかうまくいっていないのが現状です。ただ、HISにおいては日本マーケットに固執せず、海外展開に真剣に取り組んでいるというところが素晴らしいところだと思います。これがうまくいけば外資の強豪と渡り合えると思います。

 

 ということで、言いたい放題書いてしまいましたが、私も日本の旅行業界に身を置いていた者として、最大限日本の旅行会社を応援したいと思っております。

 

 がんばれ!NIPPON!

 

Have a Nice Trip!

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